淵野辺駅南口より徒歩2分 鹿沼公園横パークサイドビル1階

ご予約・お問い合わせ

歯磨きは治療の基盤となるセルフケア

院長 小早川 潔
KIYOSHI.KOBAYAKAWA

歯磨きは効果的な「自己治療」である。予防以上の価値を知る。

歯磨きは効果的な治療!鹿沼台の歯医者が解説

さて、今回のテーマは「なぜ毎日歯を磨かなければいけないのか」という、極めて根本的な問いについてです。

私たちは幼い頃から、ご両親や学校の先生に「食べたら磨きなさい」と言われ続けてきました。多くの人にとって、歯磨きは顔を洗うのと同様の「習慣」や「エチケット」になっていることでしょう。しかし、歯科医学の視点から見ると、歯磨きの持つ意味は単なるマナーを遥かに超えています。

結論から申し上げます。歯磨きとは、お口の健康を維持するための「予防処置」であると同時に、歯周病や虫歯に対する最も重要で効果的な「治療」そのものなのです。

お口の中に潜む「バイオフィルム」の恐怖

なぜ歯磨きが治療と言い切れるのか。それは、虫歯も歯周病も、特定の菌に感染することで引き起こされる「感染症」だからです。

テレビのCMなどで「プラーク(歯垢)」という言葉をよく耳にすると思いますが、これは食べカスではありません。プラークの正体は、ミュータンス菌(虫歯菌)や歯周病原菌といった細菌が寄り集まって増殖した、いわば「細菌の塊」です。

このプラークには非常に厄介な特徴があります。 菌が自ら作り出す「デキストラン」という物質によって、強力な粘性(べたつき)を持っているのです。例えるなら、お風呂場の排水溝やキッチンの三角コーナーに現れる「ヌルヌル」をイメージしてください。あれは細菌が膜を張った「バイオフィルム」と呼ばれる状態で、水で流した程度では落とすことは困難です。

お口の中でも全く同じことが起きています。歯と歯茎の境目(歯頸部)にこびりついたバイオフィルムは、毒素を出し続け、歯の骨を溶かしたり(歯周病)、歯の表面を酸で溶かしたり(虫歯)します。

水回りの掃除なら強力な塩素系洗剤で化学的に分解できますが、人間の粘膜であるお口の中にそんな劇薬は使えません。だからこそ、物理的な摩擦、つまり「歯ブラシでこすり落とす」という行為が、菌を撃退する欠かすことのできない、極めて重要な手段となるのです。

「歯石」は細菌たちの要塞

よく「歯石を取ってください」と来院される方がいますが、歯石とプラークは別物です。歯石は、プラークが唾液中の成分で石灰化し、細菌の死骸が固まったものです。

「死骸なら安心だ」と思うかもしれませんが、実は逆です。歯石の構造は軽石のように小さな穴が無数に開いており、そこが生きている凶悪な細菌たちの絶好の住処(要塞)になります。一度歯石になってしまうと、もはや歯ブラシでは落とせません。この要塞を築かせないために、まだ柔らかい状態のプラークのうちに毎日のブラッシングで除去することが、何よりも重要なのです。

歯磨き粉の「落とし穴」にご用心

現代の歯磨きにおいて、歯磨き粉(ペースト)を使わない方は少数派でしょう。しかし、ここに大きな落とし穴が潜んでいます。

もし「歯磨き粉をつけて磨けば、それだけでプラークが落ちる」のであれば、世の中から虫歯や歯周病はとっくに消滅しているはずです。それでもなお、多くの方が歯科医院で「磨き残しがありますね」と指摘されるのはなぜでしょうか。

それは、歯磨き粉の「爽快感」が、実際には落ちていない汚れを「磨けたつもり」にさせてしまうからです。

薬剤の効果と物理的清掃のバランス

もちろん、歯磨き粉には素晴らしい効果があります。フッ素による再石灰化の促進や、殺菌成分による菌の増殖抑制など、現代の歯科予防において欠かせない存在です。

しかし、知っておいていただきたいのは、「薬剤で菌を殺す力」よりも「歯ブラシで菌を物理的に削ぎ落とす力」の方が、菌の絶対数を減らす上では圧倒的に勝っているという事実です。

汚れが山積みの床に除菌スプレーをかけるよりも、まずはモップで汚れを拭き取ったほうが清潔になるのは明白です。お口の中も同じで、まずは「物理的な除去」が先決なのです。

歯科医師が教える「二段階歯磨き法」の極意

歯磨きは効果的な治療!鹿沼台の歯医者が解説

鹿沼台こばやかわ歯科がおすすめする、歯磨き粉の効果を最大限に引き出すためのステップをご紹介します。傷口を消毒する際に、まず傷口をきれいに洗ってから薬を塗るのと全く同じ理屈です。

ステップ1:まずは「水だけ」で磨き上げる

まずは、歯ブラシを水に濡らすだけで磨き始めてください。歯磨き粉の泡や香りに邪魔されず、自分の歯の状態をダイレクトに感じることが目的です。

磨きながら、時々、舌で歯の表面を触ってみてください。

  • ザラザラした感覚はないか
  • ヌルヌルした感じが残っていないか
  • 奥歯の裏側までツルツルしているか

お口の中全体がさっぱりし、汚れを落としきった清潔な状態になるまで丁寧にブラッシングします。この時、お茶を口に含んでみてください。磨き残しがない状態でお茶を飲むと、お茶本来の渋みをダイレクトに強く感じます。これが「本当に磨けている」サインです。

ステップ2:薬剤を「塗り込む」仕上げ磨き

お口の中が物理的にクリーンになったら、ここで初めて歯磨き粉の出番です。

今度は歯磨き粉を少量つけ、お口全体に広げるように軽く泡立てながら磨きます。ここでの目的は「汚れ落とし」ではなく「薬剤の塗布」です。

泡立った状態で、すぐにはゆすがず、そのまま5分ほどキープしてください。その間、唾液が溜まってきたら適宜吐き出しても構いません。5分置くことで、フッ素や薬用成分が歯の表面や歯茎の隙間にじっくりと浸透していきます。

ステップ3:すすぎは最小限に

5分経過したら、最後は軽くすすぎます。ここで何度も激しくうがいをしてしまうと、せっかく浸透させた薬剤がすべて流れ出てしまいます。

目安は、大さじ1杯程度の少量の水で、2回から3回、軽くゆすぐ程度にとどめましょう。お口の中に少し歯磨き粉の成分が残っているくらいが、予防効果を持続させるためにはベストな状態です。

一生、自分の歯でおいしく食べるために

歯磨きは、決して面倒な作業ではありません。あなたの大切な体の一部を守るための、最も身近で、最も安価で、そして最も強力な「お口を守るための大切の習慣」なのです。

自分では完璧に磨いているつもりでも、歯並びや磨き癖によって、どうしても手が届かない場所は出てきます。そこをフォローするのが、私たち歯科医師や歯科衛生士の役割です。

毎日の正しい自己治療(セルフケア)と、歯科医院でのプロフェッショナルケア。この両輪が揃って初めて、80歳、90歳になっても自分の歯でおいしく食事を楽しむことができます。

相模原市、鹿沼台の皆様の健やかなお口を守るため、私たちは全力でサポートさせていただきます。

TOP