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歯周病が引き起こす、その他の命に関わる全身疾患

院長 小早川 潔
KIYOSHI.KOBAYAKAWA
歯周病と糖尿病|淵野辺駅・鹿沼台こばやかわ歯科

前回の50代以上が知るべき糖尿病と歯周病の関係と危険に続いて、今回は「歯周病が引き起こす、その他の命に関わる全身疾患」についてです。
歯周病と糖尿病などの全身疾患、生活習慣病が如何に双方向性関係があるかご理解頂けたと思います。

お口の炎症が血管を通じて全身に回るということは、影響は糖尿病だけに留まりません。50代以降の命を脅かす、さまざまな大病の引き金になることが分かっています。

心筋梗塞・脳梗塞(動脈硬化性疾患)
血液中に流れ込んだ歯周病菌や炎症物質は、血管の壁(内皮細胞)を傷つけます。傷ついた血管の壁にはコレステロールなどがこびりつきやすくなり、血管が狭く硬くなる「動脈硬化」を引き起こします。これが心臓の血管で起きれば心筋梗塞、脳の血管で起きれば脳梗塞となり、突然死や重大な後遺症の原因となります。

メタボリックシンドロームの悪化
内臓脂肪型肥満、高血圧、脂質異常などのメタボリックシンドロームの構成要素も、歯周病の炎症によって一気に悪化することが分かっています。全身の慢性炎症が、代謝のスイッチを狂わせてしまうためです。

では、歯周病治療がどのような効果と意味があるかをお話していきます。

歯周治療は「お口からアプローチする糖尿病治療」である

ここまで恐ろしい話をしてきましたが、ここからは皆様にとって最大の「希望の光」となるお話をします。この悪魔のサイクルは、ある方法によって劇的に断ち切ることが可能です。それが、歯科医院での本格的な「歯周病治療」です。

HbA1cが平均0.4〜0.6%下がるという事実
数多くの信頼できる臨床研究(複数のデータを統合したメタアナリシス)によって、歯科医院で歯石の除去(スケーリング・ルートプレーニング)を行い、お口の中の炎症を徹底的に抑え込むと、糖尿病の最も重要な指標である「HbA1c」の数値が、平均して「0.4パーセントから0.6パーセント」程度低下することが証明されました。

糖尿病の薬「1剤分」に匹敵する価値
「たった0.5パーセントの改善か」と思われた方もいるかもしれません。しかし、糖尿病の専門医から見れば、この数値は腰を抜かすほど大きなものです。なぜなら、内科で新しい糖尿病の治療薬を1種類追加したときに期待できる効果が、ちょうどこの「0.5パーセント前後の低下」だからです。

つまり、歯科医院で歯ぐきの治療を行うことは、「副作用のない糖尿病の薬を1種類、体に追加した」のと同じだけの治療効果を体に定着させることを意味します。お口の中の手のひらサイズの傷口を塞ぐことで、インスリンを邪魔していた炎症物質が消え、体が本来持っている「血糖値を下げる力」が100パーセント発揮されるようになるのです。

2026年度診療報酬改定が示す「医科歯科連携」の最前線

こうした圧倒的な科学的エビデンスを背景に、現在の日本の医療現場では、内科の医師と歯科の医師がタッグを組んで患者を治す「医科歯科連携」が国を挙げて推進されています。

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定(国が定める医療行為の点数やルールの見直し)においても、この流れはさらに加速しています。内科で糖尿病と診断された患者に対して、医師が「歯科での歯周病検査と治療」を強く推奨し、歯科医院へ正式な紹介状(診療情報提供書)を書く仕組みが標準化されつつあります。

もはや、「糖尿病は内科、歯周病は歯科」という縦割りの時代は完全に終わりました。「お口を治さずに、糖尿病の完治はあり得ない」というのが、現在の医療界の常識なのです。

今日から始める「健康寿命を20年延ばす」具体策

では、この知識をもとに、私たちは今日から具体的に何をすればよいのでしょうか。50代から始めるべき3つの絶対的なアクションを提案します。

1.歯科医院で「歯周ポケットの深さ」を測定してもらう
まずは、自分のお口の中に「手のひらサイズの傷口」が本当にあるのかどうかを確かめる必要があります。歯科医院へ行き、「歯周ポケットの検査」を受けてください。
溝の深さが4ミリメートル以上の場所がある場合、それはすでに骨が溶け始め、炎症物質が血液に漏れ出しているサインです。自覚症状(痛みなど)がなくても、検査数値は嘘をつきません。

2.毎日のブラッシングに「道具」をプラスする
50代の広くなった歯の間は、普通の歯ブラシだけでは汚れの6割しか落とせません。残りの4割のギトギトした歯垢(プラーク)が歯周病菌の巣窟になります。
必ず「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」を毎日の習慣に取り入れてください。これだけで、お口の中の炎症リスクを劇的に下げることができます。

3.内科の主治医に「歯の治療を始めた」と伝える
もしあなたが糖尿病やその予備軍で内科に通っているなら、主治医に「歯科で歯周病の治療を始めました」と伝えてください。また、歯科医師には現在のHbA1cの数値を伝えてください。
医科と歯科の情報がつながることで、あなたの治療の効率は劇的に高まり、薬の量を減らせる可能性すら見えてきます。

4.血圧計を買う
病院に行った時にだけ血圧を測っても「高い」だけの話題で終わってませんか?ある程度しっかり測れる血圧計は2万円前後しますが、『健康を意識するツール』と考えれば高くはないと思います。ご家族全員で使えるものです。
数値を認識し、意識することで日々の改善にもつながります。

歯を守ることは、あなたの人生そのものを守ること

50代からの人生は、これまでに蓄積したケアの差が、残酷なほど数字と見た目に現れる時期です。

歯周病によって歯を失うと、うまく噛めなくなり、柔らかい炭水化物(うどん、パン、白米など)ばかりを好んで食べるようになります。これらは血糖値を急上昇させるため、さらに糖尿病を悪化させるという、もうひとつの恐ろしい食習慣の罠も存在します。自分の歯でしっかりと肉や野菜を噛み締め、栄養をバランスよく摂取することこそが、すべての健康の土台です。

「たかが歯磨き、たかが歯の掃除」と思わないでください。あなたが数ヶ月に一度、歯科医院のチェアーに横たわって受けるお口のクリーニングは、あなたの全身の血管を守り、糖尿病の悪化を防ぎ、将来の脳梗塞や心筋梗塞を予防するための、最も投資対効果の高い「全身の医療」なのです。

気づいた時が、人生で一番若い時です。50代の今、お口の中の悪魔のサイクルを断ち切り、これからの20年、30年を病気知らずの元気な体で駆け抜けるための第一歩を踏み出しましょう。


淵野辺駅2分、鹿沼公園前の鹿沼台こばやかわ歯科は歯科治療だけでなく全身の健康を考慮した治療を大切にしています。
1人1人しっかり向き合って、患者さまにご理解をいただきながら治療をする「地域のかかりつけ歯科医」として診療にあたっております。

わかりやすい説明、丁寧な治療、なるべくご自身の歯を残す治療を重視しています。
お口の中に何かご不安がありましたらお電話もしくはWEB予約にてご来院下さい。

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